【旭川市】2023年3月に閉業した神楽の「菊の湯」 古き良き銭湯を残したい。復活に向けてのプロジェクトが始動しています
みなさん、神楽にあった「菊の湯」をご存じでしょうか。神楽の地で長い間地域のコミュニケーションの場として地元住民に愛されてきた銭湯でしたが、昨年2023年3月31日に惜しまれながらも閉業となりました。
同じ日に西神楽のスーパー銭湯「御料乃湯」も閉業となり、3キロ圏内にあった銭湯が同日に二軒閉業したことにより銭湯難民が増えたと思います。その閉業より半年ほど、古き良き雰囲気を残す銭湯をぜひ復活させたい! 「FRO CLUB」と、旭川でサウナ大好きな人が集まり設立した「アサヒサウナ」がタッグを組んで「菊の湯復活プロジェクト」が始動しました。
「FRO CLUB」とは、銭湯好きの仲間達が設立し京都を拠点に銭湯カルチャーを発信するアパレルブランドで、様々なコラボレーションを実現させ、全国の若者に銭湯の良さを発信しています。「アサヒサウナ」は2021年にクラウドファンディングをし、銀座商店街の商店を改築し下町サウナ「銀座サウナ」をオープンしています。
「菊の湯復活プロジェクト」で、いちばんに考えていることは地元住民の「地域のコミュニケーションの場」である銭湯を残したいということです。銭湯はお風呂に入るだけではなく、住民たちのコミュニケーションの場でもあり、近所の人や番台のおかみさんなどとたわいもない話をして笑う「日常」の一部分なのだと、プロジェクトの代表メンバーの1人のアサヒサウナの桐原さんは話します。
ただ古きを残すだけではなく、その中に新しさを取り入れていきます。今まで通っていた地域住民の皆さんが違和感のないようにフロアはほとんど変えず、慣れ親しんだ空間の中に「新しさ」を取り入れたそんな「ネオ銭湯」を目指していきたいとのことです。サウナはフィンランド式にすることを考えています。アサヒサウナが運営している銀座サウナはサウナ愛好家さんたちに大好評なこともあり、サウナがどうなるのかも注目ですね。
元店主で旭川浴場組合の組合長だった熊谷さんによると、菊の湯は1964年開業しました。そのころの建物は現在の菊の湯の駐車場の端にあったそうです。現在の建物は2代目で鉄筋コンクリートで造られており、配管などは建物の下に配置しているため、厳寒の地旭川で一度も凍結したことがないとのことです。閉業後も清掃は行き届き、きれいなままで設備は残っています。
かつては数多くの銭湯が旭川にあったものの現在はわずか13軒になったと熊谷さんは語ります。今の旭川で銭湯を営業をしていくのは難しく、若者だけで営業していけるのかと心配ではあるようです。ただ、若者がこれからSNSなどを広く利用してチャレンジしていかなければ銭湯文化はなくなり、地域のコミュニケーションが希薄になることを危惧し、若者たちの挑戦に理解を示していました。
菊の湯の未来の店長予定の山村さんは31歳。根っからの関西っ子ですが、菊の湯を復活するために単身旭川に移り住みました。地下水をろ過して使用する菊の湯のお湯は魅力的であり、京都と比較し銭湯の規模がとても大きいと笑顔で語っていました。前職では銭湯の番台に立っており、みなさんとコミュニケーションするのが楽しくてならないといいます。銭湯の隅々まで楽しみながら清掃をするほど銭湯を愛しすぎている熱い人で、菊の湯で皆さんと触れ合う日を楽しみにしています。
菊の湯は場所はJR神楽岡駅より徒歩5分ほどの立地で、国道237号線のすぐ近くです。国道から「湯」の看板は見えています。住所は旭川市神楽5条14丁目2-17となり、周辺には出光セルフ新神楽SSや旭川神楽岡郵便局、神楽岡小学校があります。
立ち上がった若者たちの夢と志ある「菊の湯復活プロジェクト」は、地元の住民はもちろん、遠く京都からも多くの人に見守られています。ぜひ多くの皆さんにこのプロジェクトを知ってもらいたいと地道なチラシ置き活動を実施中です。また復活に向けてクラウドファンディングも始動していますので、興味がある方は「FRO CLUB」のインスタグラムをご覧ください。
「FRO CLUB」の代表である塩路さんは、気持ち良い地下水も汲み上げて復活に向けて動いている途中です。オープンしていた頃より数段階パワーアップし、地元の方々で賑わう菊の湯を夢見ながら頑張っていきます。と語っていました。
いつかまた菊の湯が開店し、入口の「いらっしゃいませ」の文字が見られる日を楽しみに待ちたいと思います。今後の動きに注目です。
*2/5に菊の湯の情報提供をしていただいた「菊の湯近隣住みの銭湯難民」さん、ありがとうございます。
閉業した菊の湯はこちら。↓